寒い夜が長くなってきた淋しい季節。
ラブストーリーが恋しい今日この頃だけれど、
オトナになったと思う大人たちにはただの甘いラブストーリーでは物足りない。
そんな一癖も二癖もついてしまった人たちにぴったりな一冊。
読み始めには分からないかもしれない癖のある暖かさ、真っ直ぐではないラブストーリーにいつの間にかのめり込んでいる自分に気づく時がきっとある一冊。
作品一つ一つの終わりに添えられた、村上春樹の思いと恋愛甘苦度評価も楽しみのひとつ。
たっぷりとその曲がった恋やら愛を愉しんで夢につきたい。
1. 愛し合う二人に代わって/マイリー・メロイ
ブライディーと一緒になる希望をなくしたことで、彼は時間のない宇宙に生きているような気持ちになった。(Maile Meloy,村上春樹 訳,p29)
2. テレサ/デヴィッド・クレーンズ
ジーザス、テレサ!(David Kranes,村上春樹 訳,p59)
3.二人の少年と、一人の少女/トバイアス・ウルフ
一人でコーヒーのカップを傾け、煙草の煙を顔の前にくゆらせている。そして奇妙なことだが、それらの運転者の抱く印象は正しいものだった。(Tobias Wolff,村上春樹 訳,p87)
4.甘い夢を
「私がお風呂に入っている間に、下のレストランに行ってワインをわけてもらってくることもできるのよ」(Peter Stamm,村上春樹 訳,p110)
5.L・デバードとアリエット_愛の物語/ローレン・グロフ
最近スペインやインドやボラ・ボラで人口が急減したというような報道に、誰が耳を傾けるだろう?新しい唇や舌や詩で世界が満たされているときに。(Lauren Groff,村上春樹 訳,p148)
6.薄暗い運命/リュドミラ・ペトルシェフスカヤ
同じ電話番号を押し、同じことを求めた一連の女たちの声の、最新のものに自分はなるのだ。(Ludmilla Petrushevskaya,村上春樹 訳,p185)
7.ジャック・ランダ・ホテル/アリス・マンロー
私を追いかけるかどうか、今度はあなたが決める番。(Alice Munro,村上春樹 訳,p239)
8.恋と水素/ジム・シェパード
夜は氷河のように遅々としか進まない。(Jim Shepard,村上春樹 訳,p262)
9.モントリオールの恋人/リチャード・フォード
「男たちは女たちがいつまでたっても変わらないと考えているし、女たちは男たちが常に変わり続けていると考えている」(Richard Ford,村上春樹 訳,p285)
「偽物はおのずと消えていく」(Richard Ford,村上春樹 訳,p287)
10.恋するザムザ/村上春樹
「またあなたに会えるだろうか?」(村上春樹 p362)
村上春樹が選んで訳した9編のラブストーリーと1編の書き下ろし短編小説。
そこからまた好きなワードをセレクトして画像を撮ってみました。
皆さんがイメージするこの本のイメージとは違うかもしれませんが…ぜひ秋の長夜にいろんな愛に浸ってみてください。
【MORE BOOK】
Title:恋しくて-TEN SELECTED LOVE STORIES