「パンのおかわりはどうですか?」
焼きたての美味しそうなパンを持ったスタッフが声をかけてくれた。
一緒に食事をしていた男性は「お願いします。」と言った。
私も同じ質問を受けたが、「大丈夫です。」と断ったのを見て、男性はすごく驚いた様子で、「あれ?食べないの?」と言った。(私はすごく食べる方で、いつもはおかわりをもらってしまうから…笑)
その日、おかわりをしたパンを一口しか食べなかった彼を見て、ん?もしかして…と気になったことがあった。
『もしかして、私がお代わりを言いやすいように、先に聞かれる彼は、いつもお代わりをしてくれてたのかな。』
そういえば以前、5種類くらいのバターが可愛い包み紙に包まれて運ばれてきたとき、説明を受けた後、どのバターにしますか?と聞かれ、好奇心旺盛な私はもちろん、全部!!と言いたいところですが、なかなか高級なお店だし、恥ずかしいと思い2つだけ選んだ。しかし、彼は全部ください。と丁寧に頼み、5種類全部手に入れた。それを、私にひとまず、食べ比べしてみたら?といって、全部食べさせてくれ、どれが美味しかった?と聞き、選んだバターを私に譲ってくれた。
そんなこともあったことを思い出し、お代わりをしない私に驚いてた彼を見て、もしかして…と少し思ったのだ。
私が、旅行に行くんだ♪と話すと、じゃ〜お土産は何がいいかな〜と言い、マグカップ!と言いかけ、あ、マグカップは持ち帰ってくるのが大変か…あ、ヤンキースのキーホルダーがいい。(ニューヨーク旅行だったので)鍵につけるキーホルダーお願い!と言われた。お土産はいいよ!と言われても、絶対買ってくる私の性格を知って、悩むのも、あまりお金を使わせるのも悪いと思って、簡単な答えをくれたのかもしれない。
もしかしたら、ただ私の思い上がりかもしれない。
本当に初めはパンを食べたいと思ったが、お腹がいっぱいになって手をつけられなくなったのかもしれないし、本当に全部のバターを食べたかったのかもしれないけど、私の羨む目に負けて譲ってくれたのかもしれない。本当にキーホルダーが欲しかったのかもしれない。(そんなわけないよね?!笑)
でも、この『もしかして?』の気付かれないくらいの思いやりがとても心地いい。いかにも、私のためにやってます!を出されたら、きっと嬉しいけど、重荷も感じてしまう。してもらったからには、返さなきゃ、とか考えるし…
それに、何もお返しは求めてない、という人でも結局は感謝されたい、と求めてる人もいる。感謝の気持ちは欲しいのだ。これは普通だし、私だって、感謝くらいして欲しいよね、と思ってしまう。それは、して「あげた」って思っているから。でもそれは、誰かのためではなく、結局、自分のためにってことにもなる。
この人はこの次元にはいない。して当たり前と思っているのか、ただただ本当に気を使うのが上手いのか、たまたまウマが合うのか、真相は分からない。
でも…その瞬間には、気付かなかったけど、後になって、もしかしてあの時って…と思うことがこの人にはよくあるのだ。本当に上手で、いつもさすがだな、と思わせてくれる素敵なお友達だ。私もこの次元の思いやりを身に付けたい。
【MORE LOVE】
相手に気付かれない思いやりこそ、大人の思いやり。